未遂

死のうとしたことが何度かある。

一度は睡眠薬を大量に飲んだ。

死ねば会社に行かなくて済むと思ったから。

死なないと会社を休めないと思っていた。

何があっても会社に行かなくてはならなくて

休むなんてとんでもない。

具合が悪かろうが熱があろうが

とにかく行かなくてはならない。

やっと一日を終えて

家につくのは22時ごろ。

だめなのだけれど

お酒と薬をいっしょに飲んで

それでも明け方まで眠れない。

毎日全然眠れない。

やっと起きて

しんどい体を引きずって会社に行く。

つらくてつらくて仕方がないのだけど

頑張らないといけない。

会社ではちゃんと仕事して

明るくふるまって

つらいそぶりは絶対見せない。

わたしがそんなだなんてだれも気付いていない。

ある日

限界が来た。

もうこれ以上頑張れない。

明日会社に行きたくない。

でも生きていたら行かないといけない。

会社に行かなくて済む方法は

死ぬしかない。

処方されていた睡眠薬を全部飲んだ。

キッチンに大量の薬の空があるのを見つけて

両親が飛んできた。

泣いてた。

会社に行きたくないとかなんとか

話したような気がするけど

意識が朦朧としてたからよく覚えていない。

次の日の朝

いつもの時間に目が覚めた。

死ねなかった。

でも大量の睡眠薬のせいで

頭がガンガンするし

ひどく目が回るし

立っていられない。

でも

会社に行った。

生きている限り行かなくてはならない。

休むなんてとんでもない。

フラフラでちゃんと歩けないのだが

元気なふりをして仕事をした。

死なない限り会社に来なければならないけど

簡単には死ねないのだと思った。

フラフラで仕事をするのは本当に大変だから

睡眠薬で死のうとするのはやめた。